オラトリオ「四季」   Joseph Haydn(1782-1809)
Die Jahreszeiten(The Seasons) Hob.XXI-3 

オラトリオ「四季」は1799年~1801年にかけて作曲されたハイドン最後のオラトリオ。前作のオラトリオ「天地創造」Hob.XXI-2と共に代表作の一つ。 初演は1801年4月24日にウィーンで行われた。編成は3人の声楽ソリスト(ソプラノ、テノール、バス)、合唱(四部)、オーケストラから成る。 テキストはジェームス・トムソン(James Thomson)の“四季”から取られた。

 

 〈春〉 冒頭(イントロダクションとレシタティーボ) 41小節目  
     クラリネット1番パート(Cl 1.)、2番パート(Cl 2.)の掛け合いが見られる。 使用するのはinB管。

 

 

〈春〉 No.6. 22小節目   
上からオーボエ(Ob)、クラリネット inC管、ファゴット(Fg)のパート。
ハイドンはここでクラリネットのinC管を指定している。現代オーケストラ(モダン楽器使用)で演奏する際、ほとんどの場合inC管の代わりにinB管を使用することが多い。殆どのオーケストラ奏者がinC管を用意していないこと、又inC管パートはinB管で移調して吹くことが永い間習慣になっていたのが理由です。しかし、このアプローチではどうしてもinC管の響きではなく、当たり前のことですが、inB管の響き(音色)が聞こえてしまいます。 ここではハイドンはあえてnC管の明るい響きを求めていたのではないかと思います。
古楽器(オリジナル楽器)演奏ではinB管の響きとinC管の響きの対比を味わうことができます。また、この辺のところまで徹底してアプローチをして行くのが古楽演奏の醍醐味であり、責任でもあると思います。

 

 

〈夏〉 No.18. 65小節目    クラリネット(inB管)により田舎風の爽やかなメロディーが歌われる。

 

 

〈秋〉No.22 DUET 冒頭    
いかにもハイドンらしい陽気でチャーミングなメロディーで開始される(クラリネットinB管で演奏される)。 

 

No.22. 57小節目   
テノール・ソロ(ルーカス・若者役)からメロディーを受け継ぐ楽しい部分。


No.22. 296小節目 クラリネット1番パートと2番パートのからみが面白い。

〈秋〉 No.26. 100小節目   
狩りのホルンの合図で始まるこのNo.26(CHORUS)は、
この作品の山場の一つ。
 管楽器が高らかに収穫の喜びを歌います。

〈秋〉 No.28.  83小節目.  
 ワインの収穫を終えた農民達が酔っぱらいながら踊り出す。
オーボエで始まるメロディーをクラリネット(inC管)が受け継ぐ。

〈冬〉 冒頭. 
ハイドンは4種の木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット)の音色を対比させている。
ハイドンは木管楽器群の各楽器の響きの特徴を活かすため、音のパレットのように扱います。
古楽器で聞くと本来楽器が持っていた素朴で暖かみのある味わいがあります。 現代楽器では音程も揃えやすいですが、各楽器の響き方が均一に聞こえます。このことは長所でもあり素晴らしいことですが、当時ハイドンが求め、聞いていた響きとは(良い悪いを別として)少し違っていると思います。