満170歳を迎えた My Clarinet
古典クラリネット (5キイ)1836年製作 |
Raver á Bordeaux , Paris ca.1836 |
ツゲ材(boxwood)、真鍮(brass)キイ、 象牙リング(6箇所)、演奏ピッチ A=430Hz |
典型的な18世紀後期の機構を持った楽器で基本的にはin B管ですが、この楽器はアタッチメント(corps de rechange=替え管)が付属されていて、数は多くないもののこのような楽器も存在しました。⇒左画像下部の替え管を取り付けるとin A管として演奏可能になる。但し、クラリネットをお吹きのお方ですとご想像が付くかとは思いますが、当然ながら音程のバランスは悪くなります。ただ、18世紀後半から19世紀初頭のクラリネットにおいては、inB管が主流で、inA管の楽器はそれほど普及していませんでした。モーツァルト(W.A.Mozart 1756-1791)は交響曲を41曲残していますが、交響曲において初めてクラリネットを使用したのが第31番ニ長調KV.297「パリ」で、ここではinA管を指定しています。ただ、クラリネットには未だ重要なメロディーラインは与えられておらず、新しい木管楽器としての響きを紹介するに留まっているようです(一部追記:2018.1月)。
このオリジナル楽器の演奏サンプルは、ヴァンハル作曲:ソナタ変ロ長調でお聞き戴けます。→サンプル
オランダ、ユトレヒトでのレコーディングでも、この楽器を使用しました。
Raver á Bordeaux (ca.1836)のオリジナル・マウスピース(木製)と自作のリード。このマウスピースに合うリードの作製には苦労しました。しかし、意外にも良い音を作ることが出来ました。昔の職人さんに敬意を払わないといけませんね。
左から
・Raver á Bordeaux (ca.1836)のオリジナル・マウスピース(木製)
・現代クラリネット(ドイツ・システム.Viotto)
・現代クラリネット(フレンチ・シム.テム Vandoren B45)
PS:現代ドイツ・システム用マウスピースは19世紀初頭のマウスピース(二つ下・画像)の流れを継承しています。
左 : Raver à Bordeaux(ca.1836)用リード(自作)
中 : 現代ドイツ・システム用リード(Vandoren)
右 : 現代フレンチ・システム用リード(Vandoren)
19世紀初頭(ca.1810) ドイツ (復元モデル)