リード(Reed)は木管演奏には欠かせないものだ。日本語では葦(アシ)に当たり、昔から木管楽器用リードにはこの植物の素材に勝るものは無いようだ。リードの原料をケーン(Cane)と呼んでいる(上画像)。南フランス(地中海地方)で産する素材が最適だと言われているが、ミストラル(mistral)というこの地域に吹く乾燥した風がケーンには良いらしい。南仏に移り住んだ画家ゴッホは、このミストラルという強風に悩まされていたそうな。ケーンは十分に乾燥させることが大事らしいが、あまり乾燥が十分でないケーンで作られたリードにも出会うことがあったが、やはり求めるような音色は作りにくい。又、仮に乾燥が十分なケーンで製造されたリードであっても、元来の素材(ケーン)の質が良くなければ求める音色は出せないことになる。楽器店に行けば、綺麗にパッケージされたリード(10枚入が普通)が売られているが、望むような音が出るリードは見つからないのが普通なのではと思う。せいぜい使用可なのが1~2枚だろうか。これは世界中のクラリネット奏者の悩みの種のようである。皆、演奏者は陰で苦労しているんだな~。僕は画像にあるケーンの丸材から切り出して、自作のリードを製作していた時期もあったが、1枚を作るのに約2時間程かかる。けど、それでも満足を得るリードを作れたことは少ない。近年はヤスリで削ったりしてリードを微調整して使っているが、最終的には妥協して使うほかなしというのが結論になる。